2006年7月9日(日)
日系メディア企業で過ごした1年間

去年の7月。留学先のボストンから帰ってきてすぐ、日系メディア企業で働き始めました。日本で初めての映像経験。めちゃめちゃ早かったです、この1年間。

約4年ぶりのサラリーマン生活は、思いのほか楽しかった。“留学生”っていう不安定な生活が長かったせいか、毎月決まった日に給料がもらえたり、接待とはいえ会社のお金でご飯が食べられるのにはちょっと嬉しかったり(笑)。アメリカの厳しい環境を経験したおかげですかね。日本では当たり前のそんなことに感謝しちゃいます。

さて。この1年間。最初は戸惑いました。だって言葉一つとっても、アメリカと全然違うから。例えば、アメリカではAudio EditingとかMixing Downって表現する「音の編集」を、日本では「MA」って言ったり。(Mixing Audioの略?)

制作の視点から日本の映像業界を見て、ちょっといい加減で、「そういうもんだから」みたいな暗黙の了解が多いことも感じました。例えば、プロデューサ。権利処理は編成任せ、制作予算は営業任せ、企画書は制作会社任せ。じゃ、プロデューサの仕事って一体何?って感じに(もちろん全部一人でやっちゃうPもいる)。

アメリカでは、番組全体の指揮を執るExecutive Producer、制作全体の責任者Supervising Producer、野外撮影の全責任を負うField Producer、スタッフ配置を担当するLine Producerなどなど、各プロデューサの役割は明確です。

しかも一つの番組制作が終わる(1シーズンが終了する)と、Executive Producerを含む制作スタッフはみんな解散。それまでの人脈と経験を頼りに、また次の職場を探します。だから、名刺を持たないプロデューサがアメリカには多い。

と、まぁ、制作の話をすると僕はどうしてもアメリカよりになるので、日系メディア企業の良いところを書こうかなと(笑)。一言で表現すれば、「多様な映像メディアの広がり」だと僕は思います。

地上波、衛星、ケーブル、ワンセグなどの放送メディア。IP放送、VOD、3Gなどの通信メディア。加えて、機内放送やイベント会場での上映などなど。そして、映像メディアの広がりが大きいだけでなく、各媒体における映像の扱いがしっかりしている点は、日本の良いところじゃないですかね。

お偉いさん方は、「アメリカみたいな放送と通信の融合=規制緩和」なんて言ってるけど、著作権楽曲処理を含めて、「規制がある=映像の扱いがしっかりしてる」っていう一面もあるわけですよ。

アメリカなんて、著作権だ何だっていいながらも、バンバンいろんなところで映像を使いまくって、文句を言われたらそこで初めて対処、みたいな対応もありですからね。事実、著作権や肖像権の侵害は、一回以上の警告を経ないと成立しません。

放映の権利を持っていても媒体によってクリアする条件が違うことや、各メディアに合った代理店との付き合い方などは、日系メディア企業の方が上手な気がします。僕がこの一年間働かせてもらった会社も同様です。だから、日本での映像経験が皆無だった僕を雇ってくれて、いろいろな仕事を任せてくれたこの会社には、本当に感謝感謝。

念のために。決して今の仕事が嫌になって転職する訳じゃないですよ。単純に、相変わらずの我がまま。ちょっとアメリカ寄りの職場で働きたいな、って、ただそれだけの理由だったりします。だから、「今までお世話になりました。さようなら」じゃなくて、これからもお付き合いさせて頂きたい会社なんです、ホントに。

生意気にも勤務中は細かいことをいろいろと自分なりに感じたりしたけど、いざ最後の出勤を終えて転職を目前に控えてみて、この一年間は自分のキャリアに必要な時間だったと改めて強く実感します。もしこの一年がなかったら、もしアメリカからの帰国直後だったら、きっと次に働く外資系企業からのオファーはもらえてなかったから。

1年間お世話になったこの会社への感謝を忘れずに、明日からの新しい挑戦をまたがんばろう!

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