2004年9月30日 ちょうど2年前の秋学期。フロリダ大学院(University of Florida: UF)でジャーナリズムの授業を履修し始めました。必修のクラスですら全く歯が立たない厳しいプログラム。そこであるアジア人学生に出会いました。 中国は四川省の大学を卒業し、一年間北京でTOEFLとGREの勉強をしてきた23歳の中国人。当時、彼は職歴がないことと、留学前に英語圏の国を訪れたことがないことに劣等感を抱いていました。彼の名前はチーチャオ。 その秋学期も折り返しを迎えた頃、チーチャオはUF大学院のジャーナリズムから短大の芸術学部へ編入することを考えていました。TOEFL650点、GREのVerbal710点という英語力をもってしても、思い通りの勉強ができていなかったからです。 ある日、彼が図書館で大量に本を借りて運べなくて困ってると電話してきたので、車で図書館まで迎えに行き、アパートまで送り届けました。夜中の1時を回ってるというのに、アパートに着いてもなぜかチーチャオはすぐに車を降りようとしなかった。 少しの沈黙の後、30冊の本を足下と膝の上に抱え、深いため息をついて、彼は静かに涙を流しました。やってもやっても結果が出ないことへの苛立ち。この先どうなるんだろうっていう不安。いろんな気持ちが入り交じってたんだと思います。 あれから2年―― 出願はしたものの結局短大へは編入せず、今年の夏、チーチャオはUF大学院のジャーナリズムを卒業。 先週末、そんな彼とNYCで再会しました。 「New York Timesで紹介された本格四川料理の店がオープンしたから行ってみよう」そういう彼に連れられ、マンハッタンの39th沿いにあるお店へ。料理を注文し終えると、チーチャオは早口で今の状況を話し始めました。 つい先週の火曜日に引っ越したばかりだということ。ルームメートがボディビルダーのアメリカ人だってこと。そして、マンハッタンにある新聞社にEditor(編集記者)として採用されたことを話してくれました。 既に先週の金曜日から働き始めていて、しかもH1ビザ(労働ビザ)の申請もしている。研修中という最初の3ヶ月でも、給料は日本の新卒の約2倍。でも、お金なんかより「マンハッタンでやりたい仕事に就けていることが信じられない!」と言ってました。 NYCに引っ越す前から数十社に履歴書とカバレターを送り、何とか2社だけ面接の予約を取り付けられたそうです。今働いている新聞社はそのうちの一社。NYCに引っ越した直後は全然企業からの反応がなく、「年末には中国に帰り母国で正月を迎えたい」と思っていたそうです。 絶え間ない努力。やりたいことへの執念。家族の協力。友人からの刺激。そして、自分で新しい環境を切り開いていく勇気。「これからが本当の勝負だよ」と言っていたチーチャオの表情には、照れ笑いと確かな自信が混ざっていました。
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